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豊かな住空間 Space Design

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2008年 09月 01日

テレビ塔

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テレビ塔_c0121993_947297.jpg栄のテレビ塔のグリーンベルトは道路に囲まれた一画ですが
樹木が生長し、周囲のコンクリートの都市のなかにあって沙漠
のなかのオアシスのような感じがします。
緑のなかに入ると少しヒンヤリとして何かほっとします。
緑の気が私の生命に何かを働きかけているのでしょう!

以前、すこしですが山林を所有していた頃、山の中に入り、雑木林
のなかを歩いていると、木々の枝を通して木漏れ日が足元の地面を
照らし木の葉っぱの絨毯のうえを歩いていると、心がパッと満たされ
幸せな気分になったことがよみがえってきました。
その時、落ち葉のあいだから咲いているカタクリの花の可憐な姿が
記憶にや焼きついています。何かをしている時、ふっと頭をよぎることが
あります。

また、山の中を走る谷の水の音。
手にすくって口にすると、本当においしい。
私の手が、はじめての谷の水。
また、”カオレダニ”と記憶しているのですが、山の林道をドンドン進んで行くと
福井県の境にでて その先は行き止まり。当時の私の心境では”秘境の地”
に連れて行ってもらったことがあります。
”マイタケ”って御存知でしょうか。この秘境の地にはたくさんでるようです。
よく食事でいただきました。コケの食感が何とも言えません。
テレビ塔_c0121993_2151358.jpg
林道を進むと、杉の林の向こうに山の斜面に深くえぐれた谷が垣間見えて
きました。緑青の水をたたえ、大きな岩場を蛇行して流れていました。
水面に目を凝らすと澄んだ谷の底に”山女”や”岩魚”の俊敏に動く姿が
見えました。私は魚やオニヤンマのすがたを見ると、どうしたものか心がはやる
気持ちを抑えることが出来ません。
今から思うと、自然児であったのでしょう。

板取川は谷の水が集まり大きな流れの川で、水は冷たく長く入っておれません。
水浴びに行くと、大勢のガキ大将が集まり水しぶきがあがり子供の歓声が山に
こだまします。また、アブがどこからか集まってきた しつこくまとわり付くのには
大変閉口しました。

土用のころ、私の母の兄にあたる叔父さんとその弟の3人で鰻とりにでかけました。
鰻とりと言っても仕掛けを川の方々に設けるのです。まず、川で町では”ドンコ”
と言うのですが、”ドチカブ”と言っていたように思います。
ドチカブを川でタモでとり、残酷ですがそれを大きな針にさし1~1.5メートルの糸の
竹の先につけて川の鰻のいそうな所に仕掛けます。川を上流に向かって草が
生い茂る岩場と言ったところに10数ケ所仕掛けました。夕方ちかくでしたので例の
しつこいアブ攻めで大変でした。もう、カンベンして下さいと言う心境でした。
あくる朝、仕掛けたところをまわりましたが、針の先に大きな鰻が掛かっていました。
もう、感激です。10匹くらいは採れました。

テレビ塔_c0121993_2154279.jpg

田舎では、何かお目出度いことがあると、飼っている池の鯉をあらいにしたり、鯉こき
にしたり、また鶏をつぶします。大変残酷におもいました。これから、鶏を潰すと言う
ときには心が痛みました。潰すという言葉もはじめて聞きました。
しかし、食事のときにそれがでて厭だなと思いながら口にすると、その味は大変おいしく
何か、割り切れない思いに悩んだことが思い出されます。

今から振り返ると、人間は自然の恵みを大事に無駄にせず本当に必要な分だけを
生活のなかでいただいていた。田舎には、食事に必要なものは野菜にしても味噌、
醤油も家族が協力して作っていた。納屋は味噌倉になっていて、その近くを通ると
ぷぅーん と、味噌の匂いがしました。また、羊を飼っていたこともありました。
何か、田舎の当時の生活が脳裏をかすめ懐かしく思い出されます。

私の実家は岐阜県の板取村です。岐阜市内に住んでいましたが、小学校
の頃は夏休みになると母の実家である板取に姉と弟の3人で出かけました。

田舎ですので、母屋には従兄弟・従姉妹が方々から集まってきてまことに
賑やかなこと。子供たちの元気な声、夏の暑いむせ返る様な熱気。夢中に
なって遊んだ記憶が甦ってきました。

母屋のうらに山の斜面に2メートルくらいの苔むした石垣があり、いつも濡れて
いました。その下に、谷の水がとおっていましたが、そこを”オニヤンマ”が静かに
いつも同じ軌道で通ります。それを、タモをもった私が息をころしてまちうけるの
です。そして、私の前を通るその瞬間、太刀を振り落ろすが如くアミにはトンボの
羽の音がなっていました。
”やった”と小躍りしたものです。

山道の斜面の草を刈って枯れ草があるところには、そっと足を踏み入れると
”キリギリス”がいっせいに飛び跳ねます。それを、たもを持った少年が元気
よく ソレッと追いかけます。

ふっと、懐かしい思いが脳裏をかすめ幸せな気持ちになります。
これが、私が過ごした少年時代の原風景です。



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by sd_spacedesign | 2008-09-01 09:44 | 暮らし


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